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2007年5月30日 (水)

NOTTINGHAM FOREST 1 - 1 ROTHERHAM

9 Apr 2007, 15:00, Coca-Cola Football League One: Nottingham Forest-Rotherham

シーズンは既に終了したが、いくつか残っているネタを。もう2ヶ月近く前になってしまったが、かの有名なNottingham Forestを見に行ってきた。

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日本人には第1回トヨタカップ出場クラブとしておなじみ。タイトルはリーグ1回、FA Cup2回、そして何よりも1979年・80年のEuropean Cup2連覇という輝かしい歴史を誇る。また、1989年のヒルズボロの悲劇の当事者でもあり、英国サッカー史に必ず登場するクラブである。

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スタジアムは市街地とは反対、街の南側に位置する。駅裏のHooters(英国にもあった!が、単なるパブと化していた。日本でもオープンするって聞いたけど?)を通り過ぎる。

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左手に見えるのが、Division 2(実質4部)のNotts CountyのホームMeadow Lane(キャパ2万)。Forestのライバルだが、現在はDivisionが異なるのでダービーはおあずけ。

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さらに進むと右手にはCASAがw 幹線道路の混み具合といい、なぜか国道17号あたりの雰囲気。

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そして、その先のTrent川にかかる橋にさしかかると、スタジアムが左手に見える。ここまで徒歩15分。

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City Groundはキャパ約3万。最新式とは言えないが、英国の伝統的な中規模スタジアムの造り。敷地が小さいためか、スタジアムが相対的に大きく見える。

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メインスタンドのみ小さめ。エンブレムはかわいらしくても、強面のファンは多い。もちろん老若男女に愛されていて、コンスタントに2万数千の観客動員を誇る。

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クラブショップは、ボルテージの半分くらいの規模と英国のクラブとしてはかなり小さいため、入店制限をしている。

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このポスターは1980年にマドリッドで行われたEuropean Cup決勝当時のもののレプリカらしい。クラブ黄金期は永遠の語り草なんだろうなあ。

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スタジアム内部、メインスタンドからの眺め。

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試合内容はもはや思い出せない。。今季はリーグを4位で終え、Yeovil Townとホーム・アウェイでChampionship(2部)への昇格をかけたプレイオフに挑んだが、結局昇格はならず。来季もDivision 1(3部)でプレイすることになった。

試合終了後は、ピッチサイドから退出。Forestのような中部の中堅クラブが、ロンドンのそこらのクラブよりも輝かしい歴史を持っているところにこの国の層の厚さを感じる。

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試合後にちょっとだけ市内を散策。英国にしては珍しく起伏のある街だ。

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街の中心地、Old Market Square。産業革命時代は繊維工業の国際的な拠点だったが、現在では産業は消滅し、歴史的な建築物だけがその面影を残す。

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ノッティンガム城。

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暴君と戦ったとされるシャーウッドの森の義賊、ロビン・フッド。伝説はほぼ空想上のものらしいが、依然として観光名所である。

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Coca-Cola Football League One
9 Apr 2007, 15:00, The City Ground, Attendance 27875.
Nottingham Forest - 1 (Holt 21(pen))
Rotherham - 1 (O'Grady 10)

 

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2007年5月28日 (月)

オールドファームとは何か?(その4:オールドファームの現在と未来)

ベルファストとロンドンデリーでは、両コミュニティの激しい抗争の爪あとを数多く見ることが出来たが、今の北アイルランドにオールドファームで見るような憎悪があるわけではない。オールドファームの日にスタジアムに行けば、言葉さえ理解できれば、そこがどんなひどい環境か分かる。

BBCの番組で、The Herald紙の記者が言っている。「もしあなたが土曜日の午後にとつぜんRangersかCelticのスタジアムに放り込まれたら、邪悪でひどいチャントを聞くだろう。無知で、無教養の偏見に満ちた感情をテラスから受けるだろう。そしてここがとんでもなく野蛮な社会だと思うだろう。」

なんでオールドファームは未だに深刻な対立を抱えているのだろうか?

結局、両クラブのファンが持っているお互いへの差別的な感情を発露する場所を、オールドファームという舞台が提供しているからだろう。

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CelticとRangersの両会長がインタビューに答えて、セクタリアニズムに及ぶファンは「ごく少数」と言っていたが、明らかに事実とは反する。

Rangersファンは総じて熱狂的だが、単に熱狂的というだけでなく、事実、カトリックへの差別を含んだチャントを歌う者もたくさんいる。

毎試合、近くに座っていた紳士はいつも静かに観戦していた。その彼がオールドファームの時にはCelticファンに対して「手をかざす」ナチス式の敬礼をしていた。これは別にナチの敬礼ではなくて、アルスター旗の中心にある「Red Hand」の敬礼なのだが、カトリック・ナショナリストに対しては非常に攻撃的な行為である。

普通のファンでもCelticを前にするとそうした行動に出る事実、そして彼だけでなく、多くの両チームのファンがそうしたお互いを侮蔑する行為に出ている現実があることは認識しておくべきだろう。

両クラブはスタジアムでの政治的行為を禁じ、セクタリアニズムは2003年から違法行為となった。今はスタジアムで差別的チャントを歌うと即座に警官に連行される。しかし、スタジアムからそうしたチャントが排除されても、試合帰りの地下鉄に乗れば聞くことが出来る。結局、お互いの差別意識は色んな形で残っている。

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現在、両クラブはスコットランド政府とも協働して、セクタリアニズムの排除に向けて運動を行っている。BBC番組にもあった子供達への教育もその一環である。BBCの番組で、刑務所で服役中の両ファンは子供の時から差別感情を持ち始めたと言っている。今も残る差別をどう押さえて、そして、将来への連鎖をどう断ち切るかが課題だろう。

2年間、英国のスタジアムを数多く訪問して、どこのスタジアムも非常に安全であると実感した。時にやりすぎと思うくらいだが、危険な予兆があれば直ぐに警察が介入し排除する。群衆のコントロールもうまい。スタジアムとその周辺に限れば、英国は欧州一安全だろう。警察・スチュワードの取り締まりが緩い分、時には日本のスタジアムの方が危険かもしれない。もちろんこの安全は、フーリガニズムが教訓になっているわけだが。

だが、オールドファームの対立の根は単なるフーリガニズムよりもはるかに深い。貧困や犯罪などの社会問題とも無縁ではない。しかし、この国には大きな問題に正面から取り組むことができる政治家・メディア・国民がいる。

「オールドファームの宗教対立って何だ?」という素朴な疑問から調べてみたこの問題、単に信仰の違いというよりは、北アイルランドの宗教・人種・政治問題がグラスゴーに移って、それがスタジアムとその周辺で時に吹き出しているものだ。

Celtic・Rangersファンのクラブへの思いはどこよりも強い。その思いだけでも十分ダービーの雰囲気は作り出せるはずだ。関係者の努力が実を結んでセクタリアニズムが影を潜めた時、それが自分が生きている間に実現するか分からないが、その時にもう一度オールドファームを見に来たい。その時にこそ、この試合が世界一のダービーだと思えるだろう。

Ticket

 

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2007年5月27日 (日)

オールドファームとは何か?(その3:ロンドンデリー)

ロンドンデリーはアイルランドの国境に近い北アイルランドの第2の都市。

「デリー」はゲール語で「楢の葉」を意味する。「ロンドン」が付いているのは英国統治に由来することから、カトリック・ナショナリストは単に「デリー」と呼ぶようだが、公共機関は「ロンドンデリー」を使用している。

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ここは中心街が全長1.6kmの城壁で囲まれたユニークな街で、観光地として魅力的な街である。

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北アイルランド問題との関係では、抗争の中心ともいえる場所で、中でも1972年のBloody Sunday(血の日曜日事件)は有名。現地介入した英国軍が武器を持たないカトリック系市民を殺害した事件で、英国軍の関与に関して現在でも調査が継続中の大きな事件。

事件のあった地区はカトリックの一大コミュニティで、壁画もたくさんある。Londonderry02

歩道が「緑白オレンジ」のアイルランド国旗の色に塗られている。ここからカトリック・ナショナリストのコミュニティだということ。

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これはBloody Sundayで亡くなった14人のカトリック系市民。

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亡くなった14歳の少女の画。手前のシンプルな説明文に言葉もない。

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英国軍の催涙ガスを防ぐためにガスマスクをした少年。手には火炎瓶を持っている。

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「YOU ARE NOW ENTERING FREE DERRY」
地元カトリック系住民による自治区宣言を意味する

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公民権運動のデモの参加者14人が殺害されたBloody Sundayの画

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ドアを破る兵士と催涙ガスから逃げる少年

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Bloody Sunday(1972年1月30日)の記念碑

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金網と石を手に装甲車に立ち向かう少年

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ベルファストの刑務所に政治犯として収監されたカトリック系住民。53日間のハンガーストライキを決行した彼の姿は1980年当時世界中に放映されたそうだ。彼らは囚人服を着ることを拒否してブランケットを羽織っている。

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Bloody Sundayその他の抗争の現場。今は普通の商店街になっている。

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城壁をはさんで反対側にはプロテスタントコミュニティがある。入口付近の歩道は赤白青で塗られている。もっともベルファストのプロテスタント地区よりも、ここはずっと小さい。

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この街は規模は小さいが、中国の西安のように街を囲う城壁がきちんと残っているため、観光客も多く訪れる。そして城壁の外、北西側カトリックコミュニティには数多くの壁画がある。壁画の状態は良く、それぞれに説明文も付いている。「地球の歩き方」には一切触れられていないが、ここまで来たら、両コミュニティに足を踏み入れてみるべきだろう。

この街は北アイルランド問題における数々の抗争の現場であっただけに、平和への欲求もより強いのだろう。Bloody Sundayの現場も含めて周辺地区に危険な感じは全くなかった。

次回はまとめ。

 

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2007年5月26日 (土)

オールドファームとは何か?(その2:ベルファスト)

北アイルランドの首都ベルファスト。ロンドンから飛行機で約1時間の距離。

中心街にほど近いPolitical Districtと呼ばれるプロテスタントとカトリックのコミュニティには、政治的メッセージが込められたMuralと呼ばれる壁画が数多く存在する。

日本人にとってはテロに限定されたニュースの印象から治安について不安なイメージを抱きがちだが、現在のベルファストは、両コミュニティの抗争の現場までもが観光名所となっている。ここを回るには、観光バスBlack Taxisを使うのが便利。

Black Taxisとは地元のタクシードライバーによる観光案内で、コストは一台£25と観光バスの£10よりも値は張るが、希望を伝えればドライバーが柔軟に対応してくれる。じっくり話を聞けるのもメリットである。

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Black Taxiをチャーターして、まずはプロテスタント地区(Shankill Road)に行ってもらった。ここは低層住宅が並ぶコミュニティ。いたるところに壁画が目に付く。これらは普通の住宅の外壁に書かれているものだ。

17世紀にアイルランドに侵攻したオリバー・クロムウェルの画。プロテスタントにとっては開拓者、カトリックにとっては侵略者。

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1690年Battle of the Boyneでボイン川を渡るウィリアム3世 (イングランド王)。この戦いでイングランド支配が決定的となった。

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アルスター地方の旗(主にプロテスタント系が北アイルランド国旗として使うもの)の中心にもある「The Red Hand of Ulster」の伝承を表す壁画。アイルランドの伝説で王様が早く岸に着いた者に土地を与えるとした競争がその起源だそうだ。

これらの壁画はユニオニスト・ロイヤリストのルーツを表している。そして周辺にはこれら以上にたくさんの政治的壁画がある。

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亡くなったロイヤリスト・ユニオニスト活動家の壁画が多い。

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ライフルを構える活動家。この地区に入ってくるカトリック・ナショナリストへの警告だそうだ。

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ロイヤリスト・ユニオニストグループを表す壁画も多い。

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「アルスターはずっと英国に留まる」。「NO SURRENDER」は彼らの合い言葉。転じてRangersファンがチャントで歌うこともある。

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この後、隣り合うプロテスタント・カトリック地区を隔てる壁(Peace Lines)に。途中に何カ所かゲートがあるが日中でも閉じられている。現在は昔のような抗争があるわけではないが、安全上の観点からゲートは閉じているとのこと。

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当然のことながら壁を迂回すれば両地区に出入りすることは可能だが、トラブルを起こすために行動する人はいない。ベルファストに住んでいれば、例えば職場などで両コミュニティの人が一緒に働くこともあるわけだが、当たり前だが、普通に接している。ただ、飲みに行くときは、中立的な中心街に行くことが多くなるそうだ。

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続いて、カトリック地区(Falls Road)。これは有名なPeace Wall。

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北アイルランドのマイノリティ、カトリック系住民はその抑圧の歴史から同じような境遇を体験してきたパレスチナと連帯意識がある。また、ゲバラやカストロなど革命家の壁画に見られるように左翼的思想とも親和性が高い。ちょうど、ロイヤリストが右翼的なのと対照的である。

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したがって反ブッシュ。これはブッシュがアラブ諸国に戦争を仕掛けて石油を搾取しているとする壁画。

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ちなみに、案内をしてくれたドライバーはプロテスタント地区の出身。実はChelseaの熱狂的なファンで、年数回ロンドンに来るとのこと。当然Rangersのファンでもあり、サッカー話でとても盛り上がってしまった。おかげで、コミュニティとサッカーの関係については色々と聞くことが出来たが、カトリック地区については重要な壁画をいくつか見逃してしまった。

なお、全国的な人気クラブとなったChelseaはカトリックからのサポートも受けているそうで、実際、カトリック地区でChelseaユニを複数見かけた。

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サッカー話で盛り上がったついでに、ベルファストのサッカークラブLinfield FCのホームスタジアムにも寄ってもらった。このクラブはRangers・Chelseaとともにロイヤリストのサポートを受ける北アイルランドリーグの強豪。ユニの色もRangers・Chelseaと同じロイヤル・ブルー。

エンブレムのお城はロンドン郊外のウィンザー城(女王陛下の住まい)であり、ホームグラウンド名のWindsor Parkとともに英国連合を強く意識したさまから、クラブの生い立ちが北アイルランドの歴史と無縁でないことが分かる。

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なお、このスタジアムは北アイルランド代表のホームでもある。代表チームも国の生い立ちからプロテスタントの強いサポートを受けているが、イングランドへの対抗意識も強く、イングランド戦は信じられないくらいの盛り上がりを見せるそうだ。これは、Linfield FCと代表チームをサポートする壁画。

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左は、2005年9月7日W杯予選イングランド戦で1-0勝利、右は2006年9月6日ユーロ予選スペイン戦で3-2勝利したことを表している。北アイルランドは強豪の揃うユーロ予選F組で現在首位である。

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2005年のイングランド戦の勝利以降、北アイルランド代表へのサポートが大きくなりつつあり、関係者・ファンの努力もあって両コミュニティの融合に一役買っているようだ。確かにスポーツが政治的対立の緩和に貢献した例はいくつもある。代表の躍進と共に北アイルランド問題の解決が促進されることを願う。

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最後に別のプロテスタント地区(Sandy Row)に。

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赤白青に塗られた歩道と電柱。これはユニオン・ジャックの3色を意味し、ここはユニオニスト地区だという警告。

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中心街の警察署。厳重なゲートに抗争の歴史がかいま見える。写真を取り損ねたが、カトリック・コミュニティ内の警察署はここ以上の完全な要塞だった。こんな造りだけど今ではこの周辺を含め市内は安全である。もちろん治安の悪そうなところはあるが、それはどこの街も同じ。

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近くのウォータフロントは良い散歩道となっている。

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両コミュニティがベルファストを代表する観光地となり始めたのは約10年前。今ではバスやタクシーで観光客が訪れ、写真を撮る姿がよく見られる。

政治的な対立は過去のものとなり、現在はEUでもワーストに近い貧困や犯罪が問題となっている。宗教対立がオールドファームで表面化しているという点からすると、ベルファストよりもむしろグラスゴーの方が問題だろう。

次回は北アイルランド紛争のもうひとつの舞台、ロンドンデリー。

 

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2007年5月25日 (金)

オールドファームとは何か?(その1:オールドファームと北アイルランド問題)

世界で最も激しいダービーと言われるオールドファーム。その激しいライバル関係はカトリックとプロテスタントの宗教対立に根ざすと言われている。

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たしかにそれは事実であるが、特定の信仰を持たない日本人にとっては、そもそも宗教が持つ意味、そして異なる宗教による対立がどのようなものか実感として理解し難い。

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2年間Rangersのシーチケホルダーとしてオールドファームを計4回見る機会に恵まれた。

最初は熱狂的な雰囲気に圧倒され、単純に「凄い!」と思うだけだったが、スタジアムで歌われるチャントの内容や試合を取り巻く環境を知るにつれ、次第に試合を楽しむよりも、むしろスタジアムで見られる両ファンの憎悪に正直嫌気がさしてくるとともに、(自分が当事者でない事による)居心地の悪さを感じるようになってきた。それでも試合は見に行ったが。

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BBCが2005年に放送したオールドファームを取り巻くドキュメンタリー、「Scotland's Secret Shame: Sectarianism」という番組がある。グラスゴーで対立する宗教コミュニティと2大クラブ、それによって引き起こされる殺人などの凶悪犯罪について正面から取り組んだ非常に意欲的な番組である。番組はYouTubeで見ることが出来る(計40分、英語、訛りのきつい英語も入るので、もし関心があればどうぞ。BBCサイトにスクリプトもあり。)。

番組に出てくる「Sectarianism(セクタリアニズム)」という言葉。特定の宗教を支持するグループ同士の対立・抗争・差別行為を表している。このSectarianismという言葉がオールドファームを理解するキーワードである。

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番組中、スコットランドの歴史学者が説明するように、グラスゴーの問題はアイルランド島北部の種族対立がスコットランドへの入植者によって、特にグラスゴーを中心とする西部に持ち込まれたものだ。したがって、北アイルランド問題について理解する必要があるだろう。

北アイルランドのプロテスタント系ユニオニスト(Unionist:英国連合支持者)又は、ロイヤリスト(Loyalist:英国王室・英国連合に忠誠を誓う人たち、ユニオニストとほぼ同義)は、英国連合、つまりイングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランドの4連合を維持すべきだと考えている。

一方、カトリック系ナショナリストは、北アイルランドが英国連合から離脱して、アイルランド共和国に戻るべきだと考えている。

両者の対立は、歴史的には以下のような推移をたどる

  • 12世紀以降、時に残酷な英国によるアイルランド支配に対し、数々の抵抗運動が起こる
  • 1916年、イースター蜂起(ダブリンでの武装蜂起)、その後、内戦状態に
  • IRA(アイルランド共和国軍)の活動が始まるのはこのころ
  • 1921年、英愛条約調印、南部26州が独立したのに対し、北部アルスター6州は英国に留まる(現在の北アイルランド・アイルランド共和国の姿に)
  • その結果、北アイルランドではマイノリティのカトリック教徒は、様々な社会的差別を受ける
  • 60年代後半、米国に始まった公民権運動の高まりを受けて、プロテスタントへの抵抗活動が始まる
  • 英国軍が投入され、IRA暫定派(Provisional IRA:実力行使を思想とするIRAの分派)との抗争が激化
  • 北アイルランドと英国本島で爆弾・銃撃活動にでるPIRAに対して、ロイヤリスト・グループ、特に英国軍のバックアップを受けた準軍事組織によるカトリック住民への報復が行われ、抗争は90年代まで続く
  • 情勢悪化により、北アイルランド政府はロンドンの直接統治下に
  • 90年代に入り、対立する政党、英国・アイルランド政府間による交渉が始まる
  • 1998年、グッドフライデー合意(後日、国民投票で支持される)、準軍事組織の武装解除、両コミュニティの代表による北アイルランド政府の共同運営が決定
    (参考:BBCサイト

北アイルランド問題というと、日本ではメディアのフィルターを通した結果、IRAによるテロ活動の印象が強いが、この問題はどちらにも偏らない両者の対立構造の理解が必要である。BBCもバランスの取れた報道に留意している。

そして今月8日、ロンドンの統治下にあった北アイルランド議会の自治権委譲がトップニュースで流れた。頓挫していた北アイルランド議会の共同運営が対立政党の合意に至ったのである。この歴史的な合意に、トニー・ブレアとバーティ・アハーン(アイルランド共和国首相)もストーモント(北アイルランド議会)入りした。北アイルランドの政治問題は、解決へ大きな一歩を踏み出した。

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深刻な対立の時代を経て、北アイルランドは和平への道を進んでいるが、オールドファームやBBCのドキュメンタリーに見られるような深刻な対立は、住民レベルではどうなのだろうか。内戦が起こった北アイルランドとはどんなところなのだろうか。

ということで、北アイルランドに行ってきた。

続きは、明日。

 

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2007年5月23日 (水)

CHELSEA 1 - 0 MAN UTD

Sat 19 May 2007, The FA Cup Final: Chelsea-Manchester United

先週土曜日、FA Cup決勝を幸運にも観戦できた。いまだに余韻は残っている。

新生Wembleyで初のFA Cupということもあり、巷ではチケット1枚に2千ポンドの値段が付いたとも言われているこの試合、毎度のことながらシーチケホルダーの友人にお世話になった。

キャパ9万のスタジアムにもかかわらず、決勝進出の両クラブへの割当てがわずか25000枚ずつとなり、シーチケホルダーといえども確実に入手できる保証はない。したがって、今回はチケット入手に万全を期して、発売日前日深夜にチケットオフィスに友人と一緒に並びに行った。これくらいの協力は喜んでさせていただく。結果的に対面販売の枚数は終了してしまい、翌朝ネット予約にトライ、無事成功する。

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新しいスタジアム、Wembleyに戻ってきたFA Cup、9万人の観衆など盛り上がる要素が例年以上に多かったこともあるだろうが、リーグ戦とも国際試合(CL等)とも異なる独特の雰囲気がそこにはあった。

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それは140年近い歴史が作り出すものなのかどうか分からないが、待ちに待った年1回のイベントを心待ちにする国(イングランド)全体の期待と、それが作り出す緊張感が感じられた。

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この決勝戦は、自分たちの街のクラブも参加したカップ戦、その頂点に立つ2チームの対戦であり、サッカーファンにとっては階層化・分断化されたリーグ戦よりも身近に感じることができるのだろうか。いずれにしても特別なイベントだということは強く感じた。

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ちなみに e.on はドイツのエネルギー企業でFA Cupのオフィシャルスポンサー(4年契約)。電力自由化が進んだ欧州では大小多数のエネルギーサプライヤーが存在し、業界再編も激しいが、e.on は現在の欧州を代表する企業。このディールは草の根サッカーへの投資拡大を目論むFAにとっても非常に大きいだろう。

伝統あるカップにもスポンサー企業名を思いっきり入れてしまうところがいかにも英国らしいが、こうやって大きな投資を呼び込もうとする姿勢は素晴らしい。翻って日本は・・・色々と問題あるんだろうなあ

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最初にMan U、続いてChelseaの選手がスーツ姿でピッチに登場

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試合開始まで数々のイベントが行われる

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ゲストのウイリアム王子に選手紹介をする両監督

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フルハウス、89826人

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延長戦を前に支持をするMourihno監督

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そして、待ちに待った延長後半のゴール(by Drogba)

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そしてタイムアップ。リーグ優勝は逃したものの、過酷なシーズンの報いとなるカップを獲得した。

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「アゴを上げろ!」が流行の兆し

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おそらく英国で最後の観戦となる試合、素晴らしい体験を共有させてくれた友人にあらためて感謝。素晴らしい思い出です。

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The FA Cup Final
Sat 19 May 2007, 15:00, Wembley Stadium, Attendance 89,826
Chelsea - 1 (Drogba 116)
Manchester United - 0

Chelsea: 1 Petr Cech, 4 Claude Makelele, 5 Michael Essien, 8 Frank Lampard, 10 Joe Cole (16 Arjen Robben, 46 (3 Ashley Cole, 108)), 11 Didier Drogba, 12 John Obi Mikel, 18 Wayne Bridge, 20 Paulo Ferreira, 24 Shaun Wright-Phillips (21 Salomon Kalou, 94), 26 John Terry (c)
Subs: 23 Carlo Cudicini, 19 Lassana Diarra.
Manager: Jose Mourinho

Manchester United: 1 Edwin van der Sar, 4 Gabriel Heinze, 5 Rio Ferdinand, 6 Wes Brown, 7 Cristiano Ronaldo, 8 Wayne Rooney, 11 Ryan Giggs (c) (20 Ole Gunnar Solskjaer, 112), 15 Nemanja Vidic, 16 Michael Carrick (22 John O'Shea, 112), 18 Paul Scholes, 24 Darren Fletcher (14 Alan Smith, 92)
Subs: 3 Patrice Evra, 29 Thomas Kuszczak
Manager: Sir Alex Ferguson

 

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2007年5月20日 (日)

クラブの本気度

5月23日(水)夜、ACL:シドニーFC戦、決勝ラウンド進出がかかったクラブ史上最も大切な試合のひとつだ。

この決戦を前に、都内で働くファンのために、クラブは東京発埼スタ行きのバスを用意してくれる(浦和オフィシャル)。

ACL参戦に当たっては、クラブとファンの連携面において、川崎Fが素晴らしい対応(アウェイ現地情報の迅速な提供、バスチャーターなど)を見せていた。ファンの規模の違いはあれど、そうしたクラブとファンの近さは正直羨ましかった。だが、今回の我がクラブの英断には心から賛辞を送りたい。

West Ham Unitedは残留のかかったWigan戦(アウェイ)で、アウェイに遠征する全てのファンのために無料バスを用意した。残留にかけるクラブの意気込みが伝わってくるニュースだった。

今回の浦和のバスチャーターは初めての試みのため、どのくらいの人が集まるかなど手探りの面も多いだろう。ただ、クラブがこうしたアクションを起こしてくれることで、いかにクラブが本気でACL決勝進出を目指しているかが伝わってくる。あとは俺たちが頑張って、2004年チャンピオンシップのような雰囲気を作り出そう!

Here We Go to the Night!!!

※いつも遠くから吠えてばかりで、現地に行けず申し訳ないです・・・試合時間中はユニ着てます

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2007年5月17日 (木)

ブックメーカー

何でも賭けの対象にしてしまうこの国、街の至る所にブックメーカーを目にする。土曜日にはFA Cupファイナルというビッグゲームが控えていることもあり、遅ればせながら試してみた。

4大ブックメーカーWilliam Hill、Ladbrokes、Coral、ToteSport(Bet24として複数のシャツスポンサーになっている)のうち、近くにあったCoralへ。写真は撮らなかったが、お店の中は意外にも明るくて清潔。競馬・サッカーその他の中継用のTVがずらりとならぶ。

専用のシート(今回はFA Cupファイナル用)に印刷されている様々な賭け方の中から好きなところを選んでチェック、掛け金も自由。

totoとの大きな違いは、賭け方のバラエティの豊富さだろう。今回のCoralであれば、最初のスコアラー、勝ちチーム、両者の組み合わせ、に分かれている。

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今回チャレンジしてみたのは、勝利チーム。新生ウェンブリーで初めてのFA Cupファイナルということで派手な試合を期待して、Chelseaの2-1/3-2勝ちにベット。オッズはそれぞれ9-1/28-1、つまり10倍/29倍ということになる。

記入したシートをレジで定員に渡し、支払いをすると、レシートがもらえる。

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今回は£10ずつ賭けたので、Chelsea2-1ManUの場合は£100、Chelsea3-2ManUの場合は£290を手にすることになる。

賭け方が豊富で、リターンもそれなりなので、やってみるとtotoよりもはるかに面白い。サッカーであれば、たいていは1点差の勝負になるので、勝利予想に手堅く賭けることもできるし、スコアラーとのダブル予想で大きな賭けにでることも出来る。例えばDrogbaのスコアでChelsea1-0の場合30倍。

法律で胴元を指定して規制する日本のギャンブルと違って、この国では免許制ということもあり、ビジネスとして高度に発展している。デリバティブなどの金融商品が発達するわけだ。シーズン終了間際にトライしたのは正解だったかもしれない。これは嵌ってしまう。

 

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2007年5月13日 (日)

CHELSEA 1 - 1 EVERTON

Sun 13 May 2007, 15:00, Barclays Premiership: Chelsea-Everton

プレミア最終節、ChelseaはホームでEvertonを迎えた。

既に優勝は決定しており、Chelseaのホーム無敗記録更新以外の見所はなさそうな消化試合、プレミア最終節を見ることが出来るという贅沢な体験ながらも、あいにくの雨天だし、正直モチベーションは上がらないままスタジアムに向かった。

スタジアムに着くと、先日のMan U戦に劣らない異様な警官の多さに驚く。Evertonとの試合は何か因縁があるのだろうか。

試合は意外と盛り上がり、結果ドロー。Chelseaは無敗記録を更新した。選手の向こうにはアウェイスタンドを埋め尽くしたEvertonファン。その一角に掲げられたアイルランド国旗。もしやと思い、帰宅してからネットで調べてみた。

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結果は予想通り。Evertonファンは、歴史的にカトリックのルーツを持つ者が多かったらしい。現在では明らかな宗教色を持つファンは時代と共に確実に減っているはずだが、歴史的な経緯を超えて、プロテスタントとの感情的な対立は今でも残っているのだろう(参考:Evertonファンによる宗教色についての見解)。

一方のChelseaファンは下の写真のように、ロイヤリスト・アライアンスとしてRangers及びLinfield(北アイルランド)とファンベースの強い絆を持っている。この関係は、Rangersに代表されるプロテスタント(≒英国連合支持者)のカラーに根ざしている。ちなみに、このお店は毎試合Stamford Bridgeに出ている。

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何事にも単純化は難しく、かつ、グラスゴーから遠く離れたこのロンドンでおおっぴらに宗教差別が行われるわけではないが、感情的な対立は未だ消えることなく、少なくないファンの心に根ざしているのだろう。「Evertonは特別な敵」、といったようなかたちで。昨年夏のCelticとのプレシーズンでも、スタジアム周辺が荒れたのは記憶に新しい。

※この問題は2年間の集大成として、後日、もう少し深く掘り下げて書いてみたいと思う。もし、本件に関する造詣の深い方から事実関係の齟齬に関するコメントがあれば、是非お聞かせいただきたい。

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最終戦の試合後に戻ろう。シーズン終了とあって、監督・選手・スタッフはスタジアムを一周してファンに感謝の意を示す。普段スタジアムを早々に去るファンも、この日ばかりは残って拍手で今シーズンの苦労をねぎらう。

浦和の様に名残惜しみながらいつまでも時間を共有する感じではなく、本当に一周したらさようなら。まあ文化の違いだろう。いずれにせよ今シーズンは終わってしまった。

オーナーは今シーズンの成績には満足?

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リーグ優勝はならなかったものの、José Mourinhoの功績は大きい。

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Andriy Shevchenkoにはもう少し時間が必要だろう。それともMilanに帰る?

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数度の怪我に悩まされながらも最後まで戦い抜いたJohn Terry (cap)
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Michael Ballackの抜けた最後の数試合、彼がチームに欠かせない選手であることが分かった。

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今やプレミアを代表するストライカーとなったDidier Drogba

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ファンにとっては胃の痛くなるような降格争い。降格圏から2つ上にいたSheffield Utdが、最終節ホームで敗戦し、まさかの降格。West HamはTevezの得点によりアウェイでMan U戦に勝利し、土壇場で降格を免れた。

一方、他クラブがWest HamとTevezの契約問題に関して法的手段に訴える動きが加速しているとのこと。シーズン終了後も火種は残っている。

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Barclays Premiership
Sun 13 May 2007, 15:00, Stamford Bridge, Attendance 41746.
Chelsea - 1 (Drogba 56)
Everton - 1 (Vaughan 49)

 

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2007年5月12日 (土)

プレミアシップ最終節

明日はプレミア最終節。既にMan Uの優勝が決定しているため上位に見るべきところはないが、下位は最終日までもつれこんだ。

自動降格3席のうち、すでに2席はCharltonとWatfordに決定。残る1席から何とか逃れようと3チームが最終節に臨む。

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                   Pd  GD Pts
16 Sheff Utd  37 -22 38
17 West Ham  37 -25 38
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18 Wigan       37 -23 35
19 Charlton   37 -26 33
20 Watford    37 -30 27

最終節のカードは、

  • Manchester Utd - West Ham Utd
  • Sheffield Utd - Wigan

それぞれの可能性は以下の通り。

  • <Wigan> 勝たないと降格決定
  • <Sheff Utd> Wiganに負け、かつ、West Hamが分けor勝ち または Wiganに4点差以上で負け、かつ、West Hamが負けたら、降格決定
  • <West Ham> Man Uに負け、かつ、Wiganが勝利したら降格決定(ただし、Sheff UtdがWiganに4点差以上で負けた場合は残留)

各チームとも当然に勝ちを狙って必死に戦うだろうが、West Hamがリードされる展開(これは、Man U戦だけに可能性大)の場合、Sheff UtdとWiganは、意図的に残留を分け合うことが出来る。

そうした行為は普通ならあり得ないが、今回はその可能性もあるという憶測でメディアは盛り上がっている。

というのも、West Hamがリーグの規約違反を不問にされたため。West HamのアルゼンチンペアCarlos Tevez と Javier Mascherano(既にLiverpoolへ移籍済み)は契約が無効だったにもかかわらず、クラブは彼らを使い続けていた。リーグはWest Hamの契約がルール違反であることを認めながらも、West Hamへの制裁(勝ち点の取り上げ)は行わない決定を下した。ここ数試合のWest Hamの快進撃はTevezによるところが大きいこともあり、このリーグの決定に対して降格争い渦中のクラブは当然猛反発し、法的手段も検討している。

現在のプレミアは、放映料収入の増加などによって、クラブ当たり100億円以上の経済効果をもたらすビッグビジネス。各クラブとも残留は至上命題なので、明日はなにが起こってもおかしくない。

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West Hamへのアウェイチケットのアロケーションは3千枚程度。もちろんメンバーでは購入できない。結局、Old Traffordには行かずじまいとなった。悔いが残りそうだ。。

 

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2007年5月 9日 (水)

CHELSEA 0 - 0 MAN UTD

Wed 9 May 2007, Barclays Premiership: Chelsea-Manchester United

水曜夜はChelsea-Man U戦。前節のArsenal戦でChelseaが勝っていれば、この試合は優勝をかけた直接対決となり、とてつもないテンションの試合となっただろうが、結果は消化試合。

チケットはとうの昔に売り切れていたが、このような状況で手放したファンも中にはいるだろう。今回もシーチケホルダーにお世話に。

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消化試合とはいえ、ChelseaはホームStamford Bridgeにおいて2004年4月から61試合の無敗記録を更新しており、Liverpoolが1978~81年にかけて作った63試合を抜こうかというところ。一部の選手は気合いが入っているとの新聞報道。

しかし、ふたを開いてみると、両監督とも再来週末に控えたFA Cup決勝のため、主力温存・大幅メンバー変更で臨んできた。

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消化試合とはいえ、優勝したMan Uとの試合、普段よりも多くの警官が配置されている。

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平日にマンチェスターからロンドンまで遠征してくる強者とはいえ、さすがに今日はユニを着たMan Uファンはいない。

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選手入場。普段は両チームの選手が同時にピッチに入ってくるところだが、今日は特別。Chelseaの選手が先に登場し花道を作る。その後、優勝したMan Uの選手が祝福されながら入場してくる。

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なんとも英国的だが、勝者をたたえる素晴らしいセレモニーに感動した。スタジアムも拍手で迎える。ゴール裏は罵声も多かったけど。

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消化試合のため初の出場機会を得た中国人FW Fangzhuo Dong。俊敏でフィジカルが強く将来性がありそうだが、John Terryの前では何も出来ず。プレミアでコンスタントにプレイするにはまだ早い印象。

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なぜか落ち着いたプレイヤーに生まれ変わっていたAlan Smith。みんな、キミが切れるところを見るのを楽しみにしているのだよ。

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ライバル同士だけあって激しいプレイも多く、試合自体は盛り上がりを見せたが、これが優勝をかけた試合になり得たことを考えると、返す返す残念。選手もファンも、そして監督も、この思いをFA Cup決勝にぶつけるのだろう。

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Barclays Premiership
Wed 9 May 2007, 20:00, Stamford Bridge, Attendance 41794.
Chelsea - 0
Manchester United - 0

Chelsea(4-3-3): Cudicini; Ferreira, Essien, Terry (c), Bridge; Diarra (Morais 87), Makelele, Mikel (J Cole h-t); Wright-Phillips, Kalou, Sinclair (Sahar 53).
Man United (4-4-2): Kuszczak, Lee, Brown, O'Shea, Heinze (c) (Carrick 65); Eagles, Smith, Fletcher, Richardson; Dong (Rooney 72), Solskjaer.

 

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2007年5月 6日 (日)

ARSENAL 1 - 1 CHELSEA

Sun 6 May 2007, 16:00, Barclays Premiership: Arsenal-Chelsea

日曜日開催のプレミアはArsenal-Chelseaのロンドンダービーのみ。もちろん早々に売り切れていたため、観戦はとうの昔にあきらめていたが、友人から「ダフ屋がいっぱい出ているぞ」と悪魔の誘いが。

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昨年、ArsenalのホームがHighburyから現在のEmirates Stadiumに移り、キャパが38149から60432へと大幅にアップしたにもかかわらず、チケットの入手はイングランドで最も困難なクラブのひとつである。

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なぜなら、シーチケは数年待ち、メンバーも金・銀・赤の3部制になっていて、好カードのチケットを入手するためには、より上位のメンバーであることが求められる。より上位のメンバーになるためには、赤メンバーから初めて観戦試合数を積んでいく必要があるが、赤メンバーに配分されるゲームは非常に少ない。

一見客には非常に厳しい制度であるが、長年クラブに忠誠を尽くしているファンを最も大切にする制度であり、クラブの本来あるべき姿だろう。

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ということで、数々の試合を見ながらも、Emirates Stadiumには行かずじまいかと思っていたところ、幸運にも最後の最後でスタジアムに入ることが出来た。

チケットはシーチケホルダーから定価の倍程度で購入。ロンドンダービーとはいえ、Arsenalには何のタイトルもかかっていない試合。ファンによっては見る価値がないと考える人もいるのだろう。

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地下鉄Arsenal駅から徒歩5分、巨大かつ近代的なスタジアム。

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スタジアム内部は非常に近代的。高齢ファンにも配慮して、上層階へのアクセスにはエレベーターも設置されている。周辺の殺風景な景色をガラス窓越しに見つつビールを飲み、ファンは試合まで時間をつぶす。

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スタジアムの巨大さにもかかわらず、ピッチへの距離は感じない。座席は大きめで、クッションがついている。今まで訪れたスタジアムの中で最も快適だ。

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今日の試合は、Chelseaにとっては、勝てば今週のMan Uとの直接対決にタイトル争いの望みをかけられる非常に重要な試合。対するArsenalには特に何もかかっておらず、Chelseaのタイトルをつぶす以上の意味はない。ファンにとってはそれ以上の喜びは無いのかもしれないが。

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前半当初はChelseaの猛攻が続く。この時点で得点できなかったのが後に響く。

前半終了間際、Gilbertoがエリア内で経験の浅いDF Boulahrouzに倒されPK。Boulahrouzは一発レッドで退場。PKが決まりArsenal以上にそのライバルManchester Utdにとって重要な1点となる。

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後半、当初から10人でプレイするChelseaは、数的不利からボールをキープできない厳しい展開が続く。あまりゴールの気配がなかった後半70分、右からのクロスを数人のDFに囲まれながらEssienがダイビングヘッドで角度をずらしゴール。

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それ以降はArsenalが完全に引いてしまい。Chelseaの猛攻が続く。ロスタイムの4分間も攻め続けるが、長いシーズンを戦った選手は気力だけで動いている感じ。そしてChelseaの猛攻も実を結ばず、残念ながらドロー。この瞬間、Manchester Unitedの4季ぶりのプレミアタイトルが決定した。

Carvalho, A Cole, Ballack, Drogba, Shevchenko, Robbenといった主力を欠きながらもここまで良く戦ってきたものだ。チームの総合力はMan Uが上だった。

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試合終了の瞬間、監督Mourinhoは真っ直ぐにChelseaファンの方に向かう。ピッチ中央を指さして、首を切る仕草?を見せながら。

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ピッチを指さしていたのは、"My players are heroes"と選手達をたたえる意味だったらしい。遠くからは首を切る仕草に見えたのは、「アゴをあげろ」、つまり「タイトルは獲れなったけれど、頭を下げずに胸を張って選手達、クラブを誇りに思ってくれ」ということだったらしい。

遅れて選手達も駆けつけ、それぞれユニを投げ込む。

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Chelseaに肩入れして見ていた身からすると、今週のMan Uとの直接対決を前に決着がついてしまったのは残念でならないが、悔しさよりも清々しさが残ったのは、Mourinhoのファンに対する姿勢のおかげだろう。攻撃的な言動から批判が絶えないが、現代のFootballに一番大切なものを理解している監督だ。

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監督が真っ先にファンのところへと駆けつける姿にChelseaファンは感激せずにはいられなかっただろう。"CHELSEA 4 LIFE"を掲げるファン。このプリントは良いな。是非とも浦和のユニで作りたい。

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帰り道、前ホームのHighburyへ寄り道。既にメインの外壁しか残っていない。やっぱり、Arsenalといえばこっちだな。

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Barclays Premiership
Sun 6 May 2007, 16:00, Emirates Stadium, Attendance 60102.
Arsenal - 1 (Gilberto 43 (pen))
Chelsea - 1 (Essien 70)

Arsenal (4-4-2) Lehmann; Eboué, Touré, Gallas, Clichy; Fabregas, Gilberto (c), Denilson (Hleb 59), Diaby (Hoyte 79); Baptista, Adebayor.
Chelsea (4-3-3) Cech; Ferreira, Boulahrouz, Terry (c), Bridge; Essien, Mikel (Diarra 74), Lampard; Wright-Phillips (Sinclair 79), Kalou, J Cole.

 

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2007年5月 5日 (土)

RANGERS 2 - 0 CELTIC

Sat 5 May 2007, 12:30, Bank of Scotland Premierleague: Rangers-Celtic

最後のSPL観戦はオールドファーム。ロンドンからグラスゴーに日帰りで行ってきた。

グラスゴーは今年のUEFA CUP決勝の開催地。街の中心George Squareにはのぼりが立っている。

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いつものように地下鉄でIbroxまで。

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いつもの風景。ユニオンジャックのとなりは、非公式の北アイルランド国旗(アルスター旗)。北アイルランド併合派(=ロイヤリスト:英国連合主義者)が使う旗で、もちろん、Celticファンの大多数であろう北アイルランド独立支持派とは正反対の立場を表すもの。

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オールドファームでは、普段と異なりファンは完全に隔離されている。警官の人垣まで近寄ると、当然のごとく制止される。「あれ?Japanese Guyがこんなところにいるぜ(苦笑)」みたいなやりとりが無線でされているのが聞こえた。そう、本当は、日本人はこんなところにいるべきではないのだろう。

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中央右寄りにアップする年間MVPのナカミューラ選手。今日は申し訳ないが活躍しないで欲しい。アウェイスタンドに揺れる旗の半分は日本国旗だった。彼の活躍は現地の人たち(グラスゴーの半分かもしれないが)の日本人に対する好感度をずいぶんと引き上げたことだろう。いち日本人として素直に誇らしく思う。

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Rangersファンはユニオンジャックと女王陛下を、Celticファンはアイルランド国旗を掲げながら、お互いを煽る煽る。笑いながらもマジだから怖い。

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選手入場。このあとCelticが円陣を組むと、スタジアム全体で鼓膜が破れんばかりのブーイングが起こる。今まで聞いたことの無いくらい激しいブーイングだった。

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そして、キックオフ。序盤は中盤の激しいつぶし合い。そして厳しいプレッシャーの下でも、徐々にRangersのパスがつながるようになる。既にタイトルを確保したCelticに対し、不甲斐ないシーズン最後のオールドファーム、そしてホームで絶対に負けられないというRangersの気迫が上回っていたのだろう。

ハイテンションのスタジアムの雰囲気に後押しされ、選手は鬼気迫る勢いでプレッシャーをかける。一対一では非常に激しいボールの奪い合い、というか完全に喧嘩。特にキャプテンのFergusonの迫力は凄まじかった。さすが、「世界にオールドファーム以上のテンションの試合は無い」と言ってBlackburn Roversから戻ってきただけのことはある。プレイ自体は冷静だったが、相手と対峙したら乱闘すらいとわない姿勢。キャプテンとして、オールドファームの戦い方を率先して実行していたのだろう。

お互いの胸ぐらをつかみながらボールを奪い合うのは当たり前。通常の試合でファールになるレベルの反則は、この試合ではいちいちファールを取らない。そんなことをしたら試合にならなかっただろう。重い試合にもかかわらず、ジャッジは両チームにフェアだった。

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Celticのチャンスは後半に中村がキーパーと一対一になったシーンくらい。中村の得意のセットプレイも、今日は不発。とはいえ、中村は、これまでのオールドファームの試合と比べて一番ファイトしていたのではないだろうか。テクニックで相手をかわすだけじゃなくて、フィジカルで正面からRangersの選手に当たっていくシーンが何回も見られた。2年間のスコットランドでの成長の証だろう。

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1点目は前半34分、NovoのクロスをBoydが見事なボレーを決める。流れから完全にCelticを崩した見事な得点。昨年は得点王になりながらもこれまでCeltic相手には無得点だったBoydは、ベンチのMcCoistコーチのところに走っていった。

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2点目は後半10分、フリーキックのシーンでAdamがグラウンダーのシュートを直接決める。

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2-0というスコアに、CelticファンはRangersファンの挑発に乗ることもなくなり、完全に余裕が無くなっていた。そしてそのまま試合終了。スコアも内容もRangersの完勝。来季が期待できる内容の試合だった。

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この後、CelticのキーパーBorucがファンからもらったチャンピオンフラッグをIbroxで振るという暴挙に出て、Rangersファンは怒り心頭。ピッチに入ろうとしたファンが即座に警察に連行されていったが、さすがに可哀想だった。今日は、普段の試合よりも警察の対応も格段に厳しい。試合中、手錠をはめられて連行されるRangersファンは後を絶たなかった。

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しばらくスタンドに残されるCelticファンは、とりあえず騒ぐ。

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思えばこの2シーズンは、クラブ史上でもまれに見る波乱の2年間だったのだろう。

2005-06シーズンはAlex McLeish監督がスコットランド初のUEFA CLベスト16進出を決めたのち解任。

2006-07シーズン、後任のPaul Le Guenは期待を完全に裏切り、チームを混乱に陥れて去っていった。最悪の成績を経験したのち、やはりスコットランドサッカーを知っている人材と言うことで元監督のWalter Smithがシーズン途中で就任。チームは再び輝きを取り戻しつつある。

2年の間、Rangersのタイトル獲得を一度も目にすることはなかったが、それもまた貴重な体験だったのだろう。そして、Ibroxへ通う日々は、オールドファームで完勝という素晴らしい思い出をもらって終わることとなった。

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Bank of Scotland Premierleague
Sat 5 May 2007, 12:30, Ibrox, Glasgow, Attendance: 50384
Rangers - 2 (Boyd 34, Adam 55)
Celtic - 0

Rangers (4-5-1) McGregor, Hutton, Weir, Ehiogu, Papac; Novo, Ferguson, Hemdani, Thomson (Burke 79), Adam; Boyd (Sebo 65)
Celtic (4-5-1) Boruc; Caldwell (Doumbe 70), Pressley, McManus, Naylor; Nakamura, Lennon, Hartley, Gravesen (Miller 46), McGeady (Riordan 79); Vennegoor of Hesselink

 

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2007年5月 4日 (金)

最後のオールドファーム

明日はオールドファーム。今季最後の、そして英国滞在期間での最後のSPLゲームになりそうだ。

一昨年前に渡英してから、RangersのホームIbroxに通うことにしたのは、ちょうど今から10年前、初めての英国旅行中にRangersの試合を見たことがきっかけ。

試合は、European Cup予選、Rangers-IFK Gothenburg(1997年8月27日)。

当時はRangersのことも(もちろんCelticとのライバル関係も)よく知らず、ただ、Paul GascoigneやBrian Laudrupがいるチームとしか認識していなかった。前年、1996年のEURO England大会でのGazzaの活躍をTVで見て、機会があれば生で見てみたいと思っただけだ。

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しかし、初めての海外サッカー観戦で記憶に残ったのは、有名プレイヤーの華麗なプレイでは無かった。周辺の住宅街からスタジアムに集まってくる人の波、スタジアムの喧騒、歓声、怒号。そして(何を言っているのか分からなかったけど)スタジアムを揺るがすようなチャント。チャンスと共に一斉に立ち上がり、ミスで一斉にため息。Footballとは観客も含めて成立するスポーツなのだと思った。

そして、スタジアムは地元のクラブを精一杯応援する人たちの場所だった。「自分たちのクラブ」を応援することを楽しみ、誇りに思っている彼らが羨ましく思えた。経済的には貧しいファンも少なくないだろう。それでも彼らの人生は豊かだ。彼らには彼らのクラブがある。

帰国してすぐに、地元埼玉のクラブである浦和レッズのホーム駒場スタジアムに向かった。そして、ここにもFootballがあることを(遅ればせながら)発見した。浦和レッズをサポートする日々が始まったのはそれからである。

明日は、浦和と出会うきっかけを作ってくれたRangersに感謝の気持ちを込めて、スタジアムでの最後の応援をしてこよう。

※写真の赤ユニがRangers。なぜだかアウェイチームにホームユニを譲っていた。 

 

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2007年5月 1日 (火)

ネットでCL視聴

Tue 1 May 2007, 19:45, UEFA Champions League Semi Final 2nd Leg: Liverpool - Chelsea

残念ながら平日のAnfield行きは実現しなかった。アウェイチケットはあっという間に売り切れたようで。

で、スタジアムに行かないとなると、家に視聴環境がない身としては通常パブに行くしかないのだが、今日は出かけるのも面倒だったので、ネット視聴を試してみた。

画面はこんな感じ。

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試合を見る上で不都合にならない程度の画質は確保されている。PPVで1試合1.99ポンド。パブに行けば2杯飲んで6ポンドは使うから、安上がりでもある。日本からでも見られるのかな?

とても便利なサービスなので、Jリーグも是非やってもらいたいところだが、日本のコンテンツホルダーはネット中継に消極的だしなあ。需要が大きくないという現実的問題もあるだろうが。

試合はPKまでもつれ込んでLiverpoolの勝利、アテネでの決勝進出を決めた。180分+延長30分では互角、ペナルティでの勝利は地の利だろう。Anfieldの雰囲気は格別だった。

試合後、Chelseaファンの少年が目に涙を浮かべていた。Anfieldのファンで泣いている者もいた。特別な試合だった。

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UEFA Champions League Semi Final 2nd Leg
Tue 1 May 2007, 19:45, Anfield, Attendance 42554
Liverpool - 1 (Agger 22)
Chelsea - 0

Aggregate 1-1, Liverpool win on penalties 4-1.

 

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